毎年4月に、世界中で、そして日本各地でも開催される環境イベントがある。
「アースデイ〜地球の事を考えて行動する日」がそれだ。
「アースデイ東京」は日本で開催される最大のもので、代々木公園で開催され、2日間で10万人ほどが来場する。このイベントへの出店は、自分にとっては最高のエンターテインメントだと思っている。もちろん、今年も出店した。
また、店を出すだけでなく、ジビエ料理のシカ肉ハンバーガーに地ビール、有機コーヒーなどを頂き、寺田本家の純米酒など、中々手に入りづらいモノを買うのもボクの楽しみの一つ。有機栽培の米、野菜、果物、それを利用したお酒やパンなどの加工品やフェアトレード製品の販売、有機系の食材を使った屋台に加え、野外ステージを使った音楽企画やトークショーが盛りだくさんにあって、毎年大賑わいになる。
この活気は、普段は気が付かない世界が普通に存在していて、それが未来に向かって極めてアクティブであることをいつも知らせてくれるし、そんな仲間と久々に会えるのがまた嬉しい。それを感じるエンタメ性が故に、以前は客として、今は出店者として、ボクは毎年参加しているというわけだ。
さて、音楽業界にいたボクは一見エコの世界との繋がりはなさそうに思われるかもしれないが、すでにこの世界に入って15年。今はフリーのプロデューサーとして環境をテーマに環境NPOや企業と生活者を繋ぐ様々な企画にトライしている。
ここ数年は軸足を地域活性、農と食に移しており、企画提案者として現場から一歩引いた今までの参加スタイルに物足りなさを感じ、3年前にそれまで一般人として参加していたNPO法人BeGood Cafeが小田原で主宰する耕作放棄地の再活性化を目指すワークショップから、彼らと一緒に「甘夏オーナーズ倶楽部（http://begoodcafe.com/orange_owner）」（以下、甘オ倶）を立ち上げ、その運営を任されるようになった。
会員数も増え、作業にも運営にも慣れて来た最近では、この甘オ倶をベースにもう少し日本の農業の実態を肌で感じられるような活動にシフトアップしてみたいと思うようになってきた。「アースデイ東京」への出店にあたっては、世に言う1次産業者の6次産業化（1次×2次×3次＝6次。1次が成り立たないと産業はゼロになる！）を自分でも超ミニマムな単位で始めてみようという気持ちもあった。
それは1次産業者としての生産（甘夏の育成収穫）、２次産業の加工（甘夏ピール入り天然酵母パンやクッキーやケーキ）、販売（場所やルートの開拓）、流通（産地から販売所への移送と保管）、３次産業のマーケティング（未来への展開を表わす新パンフの作成、SNSを利用したPR）への挑戦だった。
そこで見えて来たのは、企業経営では当然の事柄を、甘オ倶メンバー共々改めてしっかり身に付けなければいけないということだった。具体的に言えば、生産面はサポートをしてくれるプロの方々もいて従来通り進んだのだが、運搬の人員や車両の手当てとそのコスト、加工品を作ってくれる仲間作り（上記製品製造の2社とは1，2年かかりで甘オ倶会員になってもらった）、出店販売のコラボ作り、当日配布のパンフ作りなど、運営、人手、コスト、コラボにまつわるマネージメントには多くのノウハウ、人脈、経験などが必要になってくるということである。
ただ、採算性にはまだまだ問題があるにせよ、わずかながらも甘オ倶の活動費を自らの汗で稼いで、今後の地域の活性に繋がる一つの解決ノウハウを得たことは大きかったと思う。今後は更にこの体験を活かし、より充実したネットワークを構築、様々な活動を展開して行くつもりだ。
ところで、私の名刺には、肩書きにエンタメ×エコプロデューサーと振り、名前は名刺の半分を占め、用紙はエコとフェアトレードに貢献するバナナペーパーを用い、裏には好きなサッカーとフライフィッシングを表すロゴマークを入れてある。「ともかく記憶に残ってもらわないと始まらないよ」と元の勤め先のデザイナー（フライの師匠でもある）が、遊び心に溢れたものをデザインしてくれたもので、正に記憶に残るこの名刺はとても気に入っている。
次回は、そんなボクのエンタメ業界時代の活躍ぶり（？）を紹介したいと思う。どうぞ、お楽しみに。
(2014.05.28)
